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「仲介手数料半額」「WEB集客」「路面店以外に店舗設置」…型破りな経営方法で新しい不動産のカタチを創った創業プロジェクト

「仲介手数料半額」という業界先駆けのビジネスモデルで創業した株式会社日京ホールディングス。手数料を半額にすることは、ユーザーにとってメリットがある一方で、自社の利益を圧迫するマイナス要因にもなります。様々な問題に直面しながら、型破りな方法でビジネスを軌道に乗せてきた日京ホールディングスのこれまでの歩みをプロジェクトという形でお届けします。

不動産業界で他に類を見ない
手数料を半額にするビジネスモデルへの挑戦

■プロジェクト概要
株式会社日京ホールディングスは「仲介手数料半額」のビジネスモデルで2006年に創業。当時、業界では珍しかったWEB集客を利用して事業を展開する。口コミで評判が広まり、不況を乗り越えられるほど安定した基盤を構築して事業を拡大してきた。現在は、第2創業期を迎え、社員数5倍、分社化などを視野に入れた目標を掲げている。

■プロジェクト登場人物

高杉さん
1981年生まれ。大学卒業後、大手不動産会社に入社。2006年、新卒時の同期である望月氏と共に株式会社NIKKEI(現:株式会社日京ホールディングス)設立。不動産とシステムの専門知識を駆使して時流を読み、経営を軌道修正し続けながら、新しいシステムやサービスを導入し、集客スタイルの礎を築く。現在は株式会社日京ホールディングス取締役、管理本部長に従事。

豊本さん
1992年生まれ。大学卒業後、新卒採用で株式会社NIKKEI(現:株式会社日京ホールディングス)に入社し、営業に従事。現在、入社3年目を迎え、営業主任を務める。持ち前の負けん気と細やかな気配りで常に営業成績上位をキープしている。

―どのような経緯で、「仲介手数料半額」のビジネスモデルへの挑戦をスタートしたのでしょうか?

高杉:代表の望月が「家をもっと簡単に買えるようにしたい」と考えたことが始まりです。望月はそのテーマを実現する方法のひとつとしてWEB集客に着目しました。「インターネットで物件を探す」というのは今では当たり前ですが、創業時は大手不動産会社さえやっていなかったことだったんです。

望月は新卒時の同期だった私に「不動産購入を検討しているユーザーをWEBで集客したい」という相談を持ち掛けてきました。当時の私はちょうど会社を辞めて休んでいたところで、WEBサイトの制作経験もあったため、単なるお手伝いのつもりで彼の起業をサポートすることにしたんです。その後、事務所も決まり、メンバーも集まり、WEBサイトやシステムも完成して無事起業することができました。でも、重要なWEBまわりを私が担当していたこともあり、そのまま入社することにしました。

そして、WEB集客以外に数多くの不動産会社と戦えるようになるために必要なことを考えていて、仲介手数料を半額にするというサービスを思いついたんです。法律で定めているのは、あくまでも上限額のみ。であれば、値下げは何ら問題ないだろうと考えました。もちろん、半額にしてしまうと、売上という面では競合に比べて不利になります。しかし、やり方を工夫することで経常利益ベースでは競合に対抗できるレベルが狙えるという算段がたてられたので、仲介手数料を半額にすることを決定したんです。

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■変化

より多くの人に『横浜スタイル』のサイトを訪問してもらいたい
コスト削減とクオリティの高い営業を目指す

―仲介手数料を半額にしたことで、どのような壁がありましたか?

高杉:創業時には仲介手数料を常に割引しているような会社はほとんどありませんでした。デフォルトのサービスとして提供するのは弊社が初めてだったので、国土交通省から調査が入ったこともあったんですよ。その時にはしっかりと説明をして、最終的には応援してもらえるようになりましたね。

WEB集客の方はユーザーが自然と検索してくれるだろうと考えていたのですが、インターネットで不動産を探すような時代ではなかったので、最初のうちはなかなかアクセス数が増えなくて。そこで、最初にやったのがチラシ配りでした。検索窓の中に「横浜スタイル」とだけ書いたサイトのメインカラーの緑一色のチラシをポストに投函。とにかく、「横浜スタイル」というキーワードに興味を持って検索してもらいたかったんです。その結果、チラシの効果でたくさんの人が検索してくれました。そして、だんだんとアクセス数が伸びていき、検索上位に表示されるようになりました。

―チラシでWEBサイトに誘導するというのは、素晴らしいアイデアですね。その後、スムーズに会社は成長していったのでしょうか?

高杉:そうですね。お客様からのお問い合わせが一気に増えましたね。さらに、WEB集客であれば24時間365日いつでもお問い合わせを受けられるので、わざわざ目につきやすい場所に実店舗を構える必要はありません。WEBによる集客を見越して、コストの高い1階を避けてオフィスを借りましたので、固定費を下げることでコストを減らし、仲介手数料を半額にしてもしっかり利益が出たんです。

また、社員のコストパフォーマンスを上げるために仕事を分業化して、より多くの案件を扱えるようにしました。一般的に不動産会社の営業マンは、お問い合わせから鍵の引渡しまで1案件を1人で対応するので、月に2件程度しか対応できません。弊社の場合は集客をWEBサイトで行い、営業や相談は営業マンが対応、契約周りや銀行とのやりとりは決済部署が担当するようにしました。分業化することで、1人あたり月に3~4件を回せるようにして、1人あたりの生産性を高めていったんです。

―当たり前にやってきたことを、改めて見直すことでコストを抑え、仲介手数料を半額にすることを実現できたんですね!

高杉:そうです。ただ、会社的にひやりとしたタイミングはありましたね。それはちょうど創業2年目。リーマンショックの時ですね。あの頃はキャッシュが底をつきかけて、役員の給料をゼロにするという判断をしたこともあったんです。ただ幸いにも、リーマンショックによる不動産価格の暴落が追い風となり、問合せが増えたので早いタイミングで危機を脱することができました。
そこから、再び会社を成長軌道に乗せることができたんです。

―無事、成長軌道に乗ることができた後、どのようなところに課題を感じていましたか?

高杉:会社がある程度の規模になってくると、採用が課題になりますね。不動産業は基本的にインセンティブ制で、契約を取ってきただけ給料に反映されるというスタイルがほとんどなんです。でも、弊社は仲介手数料が半額なので、必然的に1案件あたりの売上が他社より低いし、給料に反映できる額も変わってきます。だから、高い給料で優秀な経験者をバンバン採用するなんてことはできなかったんですよ。どうやって人材を確保して教育していくか、という課題に直面しました。

そこで、経験者採用を諦め、異業種から採用して教育していく方針にしました。方針にそって採用を進めているうちに、「これは新卒採用と同じなのではないか」という考えに至ったのです。その後、開始した新卒採用が効果的に機能し、さらに拡大路線を突き進んでいきました。

―豊本さんも新卒採用で入社されたと思いますが、教育を受ける側としてどのように感じましたか?

豊本:課長や店長がかなり身近で、「ここはダメ」「これはいいね」と適切な指導をしてもらえた感覚がありました。人間としても社会人としても成長できる環境が整っていると感じていましたね。

ただ、教育体制はしっかりしていましたが、やはりベンチャー企業なので早いタイミングで現場に出て、いろいろな仕事が舞い込んでくる毎日でした。右も左もわからない中、たくさんの知識が一気に入ってきて、最初はいっぱいいっぱいになりましたね。

会社としての動きも本当にいろいろあって。入社1年が過ぎたころ、2つあった店舗を統合することになったんです。業績は伸びていたので、さらに店舗展開を加速させていくはずなのに、どうして統合なんだろうと疑問に思っていましたね。

―会社が伸びているタイミングで店舗の統合ですか?

高杉:新卒採用の加速で人材に対する課題は解決できたのですが、次は組織カルチャーの壁にぶつかっていたんです。会社の規模が大きくなるにつれ、創業メンバーの想いやノウハウが上手くメンバーに伝達できなくなっていきました。そのことが2つに分かれていた店舗を一度統合しようという意思決定につながったんです。

豊本:個人的に他店舗にライバルがいたので、店舗が統合して一緒に働くことになったことには複雑な気持ちでした(笑)。でも、他店舗にいた人にも相談しやすくなったので、それがスキルアップに繋がり、結果的には生産性があがったと感じています。

―そうだったんですね!不動産会社では店舗の統合はとても大きな決断ですよね。

高杉:他社から見たら、事業が上手く行っていないように見えたかもしれませんが、周りの目を気にすることなく、基本的にはお客様がどう思うかを一番に考えて、店舗展開の可否をジャッジするようにしていました。

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■プロジェクトの結果と今後の取り組み

“お客様ありき”の思考で生き残ってきた
これまでの経験とノウハウを活かして大きく羽ばたく

―周囲からどう見えるかより、お客様がどう感じるかを起点に事業を展開されたんですね。今はどのような状況ですか?

高杉:創業当時、同業他社からは「日京ホールディングスは理解できないことばかりする会社だ」と思われていた気がします。重要な売上である仲介手数料は半額だし、店舗はほとんどないし。それでも、現在は平均で月間350件以上、繁忙期には約1.5倍のお問い合わせをいただけるほどに成長することができました。もちろん、インターネットが普及したおかげもありますが、試行錯誤しながらみんなで10年間頑張ってきた成果だと思っています。

売上主義ではなく、設立時から変わらない「お客様ありき」という理念があるからこそ、お客様からの信頼がどんどん厚くなって、ここまで上がってこられたんだと思っています。おかげさまで、弊社で不動産を購入されたお客様が他のお客様を紹介してくださったり、不動産紹介をした企業から再度お話をいただいたりすることもあるんです。口コミの力は侮れないですよね(笑)。

豊本:「お客様ありき」という想いは現場にも浸透していると感じています。弊社は営業の個性とお客様をマッチングして担当を決めるので、信頼関係が築きやすいんですよね。そして、信頼関係があるからこそ深いところまで相談に乗ることができて、お客様にとって良い接客、良い提案ができているのではないかと思います。

―今後はどのような展開を考えていますか。

高杉:現在は第2創業だと捉えています。今までは「生き残っていくためには何でもやる」というスタンスでしたが、今後は拡大のフェーズに入ってくるかと。具体的な目標としては「社員数5倍」や「ホールディングスの分社化」などがありますね。

現在、業界初の新サービスである不動産の売却システムを「横浜スタイル」内で展開しています。物件を売るためには、これまで不動産屋に行く必要があったのですが、査定から仲介までWEBで対応できるようにしました。実は、これは社員のアイデアで、半年ほどで実現したものなんです。やはり事業もワークスタイルも社員からの「やってみよう」「やりたい」という声が起点になることが重要で、それを実現するのが役員の仕事だと思うので、どんどん声を上げていってほしいですよね。

今まではエンジンだけでここまで進んできました。でも、今は社員もお客様も増えて翼ができたので、これからは安定してより遠くまで行けるように飛び続けていきたいですね。

豊本:私はまだ入社3年目なので、まずは課長を目指しています。部下を育てる経験をして、早く一人前になりたいですね。いつになるかはわからないですけど、いずれは店舗を持たせてもらって、日京初の女性店長にもなりたいです。そして、女性営業マンだけを集めた女性だけの店舗も作ってみたいし、最前線の女性営業マンとしてずっと頑張っていきたいと思っています。