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「後輩たちのロールモデルになりたい―」負けず嫌いな不動産営業ウーマンが目指す“女性が活躍できる業界”づくり

前田 ちひろさん 20代 営業 係長
株式会社日京ホールディングス

1991年生まれ。大学在学中の2014年株式会社NIKKEI(当時)にアルバイトとして在籍。卒業後の2015年4月に株式会社NIKKEI(当時)に正社員として入社。現在、同社が運営する「横浜スタイル」にて不動産仲介営業職として活躍中。

小さい頃から「将来はバリバリのキャリアウーマンになりたい」と思っていたという前田さん。海外志向だった彼女が、いつの間にか男性が多い不動産業界に飛び込み、完全成果主義という厳しい環境で着実に成果を上げ続けています。現在は女性営業初の係長へと昇進し、「女性がもっと活躍できる業界にしたい!」という熱い志を持って仕事に邁進する彼女のキャリアストーリーについてお伺いしました。

自分が家計を支えていけるような一家の大黒柱になりたい

―まずは前田さんが今のキャリアを築こうと思ったきっかけについて教えてください。

前田:私の家は二代に渡り母子家庭で、母はコンビニのパートで働き、祖母も長い間仕事を持っていました。決して裕福ではない中で、高校はわがままを言って私立の学校にいき、専門学校中は留学に行かせてもらい、大学編入した時も海外のインターンシップに行かせてもらったりと、母と祖母には金銭面ですごく苦労かけたなと思っていました。彼女たちとしては「片親だからという理由で私に不自由させたくない」という気持ちがあったようなのですが、そんな2人をみて、わがままをお願いしつつも、働けるようになったら「自分で家を支えていけるような大黒柱になりたい」と強く思っていたんです。

キャリアについては、世界中を飛び回るバイヤーになりたいと高校の頃から憧れがありました。そこに向けて、海外でMBAを取得したいと思って、まずは英語関係の専門学校へ進学し、その後、大学に編入。大学では国際ビジネスキャリアを専攻していました。

ただ、このバイヤーになりたいという考えは大学生活を通して変化していきました。大学での授業を通して、自分の視野がすごく狭かったことに気づかされたんです。授業では、外部講師として上場企業で人事をやっていた方、大きな組織のマネジメントをしていた方々の話を聞く機会が多くありました。

いろんな話を聞いて「こういう考え方があるんだ」「こういう世界があるんだ」と発見の連続だったんです。そして、インターンシップで1ヶ月ニューヨークに行ったのですが、その経験からみえてきた自分自身の英語力、海外でMBAを取得するための費用など、色々なことを踏まえて改めて自分のキャリアを考えた時に、バイヤー以外の選択肢もありだなと思うようになったんですよね。

そうしてゼロベースで考えてみて、軸として外せないのは、母と祖母を支えられるように、大黒柱になるべく「稼ぐ」こと。そして、「稼ぐ」を軸に考えた時に、業界は問わず成果主義の営業職として働こうと考えるようになりました。

写真 正面手を組む

フレンドリーな関係性に惹かれる

―そこから今の会社に入ることになった経緯について教えてください。

前田:きっかけは知り合いに誘ってもらった就活セミナーです。そこで、いろんな企業がブースを出していたんですが、今の会社と出会い、そこで面談をして「私ここに入りたい!」 と思ったんですよね。

―そうなんですね。なぜそう思われたんですか?

前田:純粋に「社長の元で働きたいな!」という直感ですね(笑)。もちろん、会社のビジョンや社風はいいとは思いましたが、なにより社長のフランクな人柄に一瞬で心惹かれたんです。

―その後ご入社されて、実際に働き始めてからについて教えてください。

前田:はい、実は正社員として働き始めるのが1年遅れたんですよ(苦笑)。私が大学を卒業できなくて。その救済処置として、「まずはアルバイトで入ってみたらどう?」と提案を受けて、その言葉に甘えさせてもらい1年間、賃貸の営業と、システム関係の部署で集計やデータ分析業務をしていました。アルバイト期間で印象的だったことのひとつが私の誕生日ですね。私が仕事をしていたら、代表がひょこっと顔をだして「今日、前田誕生日だったよな。これあげる」と言って、誕生日プレゼントをくれたんです。入社前のアルバイトである私の誕生日を代表が憶えてくれていたことに感動で。がぜんやる気がでたのは言うまでもなく(笑)。改めて社長との距離が本当に近いなと感じた出来事でしたね。

新卒だけど新卒ではない気持ちとの葛藤
会社の顔になる責任感

―それは、素敵なエピソードですね。その後、正社員として働かれていかがですか?

前田:大学も無事に卒業できて、改めて正社員として働き始めるにあたっては、いろいろやりづらかったことはありましたね。例えば、本来は後輩になるメンバーと同期になり、加えて私はアルバイトをしていたこともあって、会社にすでに馴染んでたので、同期が私に対して気を遣ってる感覚があったことなどは、最初葛藤がありました。

正社員になってから変わったことで言うと、アルバイトの時と比べるとより一層「会社の顔になるんだ」という意識が強くなったことですね。私が担当についたお客様は、他の営業とは会う機会はないので、会社の看板を背負っているという感覚ですね。ただの「前田さん」ではなく「横浜スタイルの前田さん」になったと思います。自分の行動すべてが会社に対するイメージになるんだという考えに切り替わったんです。

意識の変化もありつつ、仕事としてはアルバイト時代には経験しなかった不動産売買の営業をすることになりました。お問い合わせをもらったお客様にアポイントを取り、購入希望と売却希望、それぞれのお客様に沿ったアプローチをしていきます。どちらの場合も基本的には数千万円する商材ですから、やはり気が引き締まる思いでした。

写真 男性と話している

新人売り上げNo.1を目指して、掴み取れなった悔しさからの変化
人と比べる時間がもったいない

-はじめての営業活動、成績的にはいかがでしたか?

前田:入社して半年ぐらいから個人目標数字も持つようになったんですが、同行してくれた上司の力添えがあって比較的安定して売上目標の達成はできていました。ただ、1年間を通して満足いく結果にはならなかったんですよね。

というのも、実は「新卒の中で最終的に売上No1になる」という目標を掲げていたんですが達成ができなかったんです。最後の月まで競りながらも1位をキープしていたのですが、最後の3月に、それまで2位だった子に抜かされてしまって……。

本当に悔しかったです。自分ではやりきったつもりだったんですけど、自分のやりきった気持ちよりも、相手のやりきった気持ちの方が強かったということなんだろうなと。「もっと私がんばれたんじゃないかな?」って考えたり、落ち込んだりもしたんですよね。

ただ、いろいろ考えてみて至った答えが、自分が前向きになっているときの方が仕事も上手くいくし、前向きな人に運が集まるんじゃないかなということ。今までの経験からそういう答えに至ったんです。なので、落ち込んでいる時間がもったいなくて、その時間を前向きに考えられたらもっと毎日が楽しくなるんじゃないかと考え方を切り替えることができました。

それからは、人と比べて落ち込むのも時間がもったいないし良いことないなと思って、2年目はあまり他の人と比べなくなりました。成績が悪い時は悪いし、それを言ってもしょうがないと1年目より前向きに考えるようになりましたね。

そんな意識の変化があり、結果的に2年目には、同期の中で1位。全営業職の中でも5位に入れたんです。やはり、前向きなことって本当に大切だなと実感しました。

お客さまの人生に深く介入する仕事
リアルなドラマに多くの学び

―もともと希望していたわけではない不動産業界で働いてみて、この仕事について今どのように思われていますか?

前田:そうですね。やっぱり不動産って奥深いなぁと。お客様の、一生に何度とないお買い物に携わる仕事なので、そこに携わらせてもらえるのはこの業界しかできないかなって。家って、ただ単純なお買い物とは違って、誰かの人生に介入するようなそんな商材だと思っています。なぜなら、毎回いろんなドラマを観ている感覚があるからです。

他にも、この仕事をしていると普通に生活していたらなかなか出会えないような方にも、お会いできる機会が結構あったりします。大企業の役員をやっていた方や、同世代の方でも私とは全然違う人生を歩んでる方など……。みなさんの人生にそれぞれドラマがあって、色々な思いで家を売ったり買ったりされるんですよ。

入社前に私が思っていた以上にお客様やご家族に踏み込んでいく仕事なので、「こういう人生もあるんだな」とか「こういう考え方もできるんだ」とか、とにかく毎日多くの気づきを与えてもらえるんです。お客様との会話を通じて私自身の意識が高まったり、日々勉強をさせてもらっている感覚ですね。また、一瞬でご決断される商材でもないため、お客様とは中長期的なお付き合いになるんですが、そういう期間にいつの間にか家族のように仲よくしてくださるお客様もいらっしゃるんです。一緒に飲みに行ったり、お家に招いていただいたり……。そういう関係になれるのも、この仕事ならではですね。

写真 横手を組む

ハイクラス物件の商談をする課長の姿
自分に足りないもの

―本当にいろんなドラマがあるんですね。一方で働いてみての難しさ、課題などは、どのように考えていますか?

前田:普段出会えない方々に出会える良さはある一方で、お客様のご年齢が私よりも上の年代の方々になるケースがほとんどです。ですので、自分自身の立ち振る舞いや知識、経験にはまだ課題はありますね。これまでの商談では、購入価格が3,000万円から4,000万円クラスの物件の話が多かったのですが、先日6,000万円台の物件の商談を任されたんです。

ただ、その商談は私ひとりでは回らなくなって課長が入ってまとめてくれました。一般的に6,000万を超える物件はハイクラス物件になるのですが、課長の仕事をみて、ハイクラス物件の商談をするにあたっての進め方だったり、知識、商談の場での振舞いなど、まだ私自身にたくさんの課題があるなと気づいたきっかけになりましたね。

どこまで教えたほうがいいのか、人を育てる難しさ

―3年目に入って組織の中での役割も少しずつ変わってきたのでしょうか。

前田:はい。今年の4月に係長に昇進して、それと同時に5月から新卒のメンバーをみることになりました。その子にとっては私が初めての上司になるわけで、その子の成長の幅は私の教え方や指導の仕方で大きく変わってくると考えると、「今よりもっとしっかりしなきゃ! 」と思うようになりましたね。

教えることひとつをとってみても、一定の距離を保って教えるほうがいいのか、それとも手取り足取り教えたほうがいいのか……その子のタイプにもよると思いますが、いろいろ考えることも増えましたね。今はベストなマネジメント方法を日々模索して頑張っています。

写真 電話を掛ける

女性のみの店舗作り×後輩から頼られるキャリアウーマン
女性が活躍できるロールモデルになりたい

―プレイヤーからメンバーを持つようになり、今後の前田さんの展望について、どのように考えているか教えてください。

前田:入社3~4年ぐらいで女性の課長になりたいと思っています。課長になってもっと多くのメンバーをマネジメントしまとめる経験をしてから、私が支店長となり女性だけの店舗を作りたいという夢があるんです。

ご存知の通り、不動産業界は男性がすごく多いんですよね。それでもようやく最近になって、女性の進出がフォーカスされるようになった業界でもあります。実際、営業活動中にお客様からも「女性の営業さんだから会いたいと思いました」と言っていただいたりすることもあって、女性ならではのアドバンテージがあると思っています。電話で話していても「この業界で女性ってめずらしいですよね」という言葉を結構いただくんですよ。仲よくなると「身体のこともあるからあんまり無理しないでね」と心配してもらえたり、応援してもらえることも多くて。ありがたいな、と温かい気持ちになります。

私は昔からかなりの負けず嫌いで「女性だから、という理由だけで線を引かれたくない!」 という気持ちが強いんです。だから小さい頃からずっとヒールをカツカツさせて歩くような芯の強いバリバリのキャリアウーマンになりたいなと思っていたくらいです。「男性社会でもこれだけ女性が活躍できるんだよ」というロールモデルになりたいし、後輩たちからも「前田さんみたいになりたい」と思ってもらえるようになりたいなと思っています。

それと、できれば30代のうちには結婚して出産をして、戻ってくるタイミングで人事をさせてもらいたいなと考えています。もともとは人事になりたいなんて全然考えてなかったですけど、何で急に思ったのかというと、本当につい最近参加した就職の合同説明会がきっかけですね。お手伝いで参加させてもらったんですが、キラキラした学生さんをみながら思ったのが、一緒に働く子を自分で採用できて、その子の成長をずっと見ていけるのって、営業とはまた違った意味での達成感があるんだろうなと思ったんです。日京グループにはまだ女性営業が少ないので、今後会社の女性採用を推進するためにも、営業経験のある女性人事が採用の場にいたら、女性の学生さんにもっと興味を持ってもらえるきっかけになると思ったんです。

女性同士なら困った時に相談しやすいこともありますよね。実際、私の上には女性営業さんはいなくて、女性営業は会社で私ともう一人の同期のみ。だから自分が営業で悩んだ時も、女性と男性では考え方が違うことから、相談できないこともありました。私自身が女性の上司がいたらもっとよかったのになって思うこともあったので、今度は私が後輩たちのそういう存在になっていければいいなと思っているんです。だから、今は一つ一つ自分の夢をかなえてキャリアを積み、いつか人事として会社を引っ張っていけたらと思っています。

写真 スーツ
※係長に昇進したときに、自分へのご褒美として生地から仕立てたお気に入りのオーダーメイドスーツ。前田さんの仕事のモチベ―ションを上げているアイテムの1つだそう♪

前田さんの『My Work Style』
ポジティブに仕事をする。いつも笑顔でいること  My Work Styleをみる