RWI_122_0417

良くも悪くも無計画で走った20代。30代を迎え、腰を据えて困難にチャレンジする元販売員の人事ウーマン

柳 奈央子さん 30代 人事
株式会社オルトプラス


1985年生まれ。美術の専門学校を卒業後、デザイン事務所に入社。広告代理店やメーカーに対しての企画営業に行う。2008年に大手外資系化粧品メーカーに契約社員雇用で百貨店の販売員として入社。その後、正社員雇用となり本店に異動し、イベント企画などにも携わる。3店舗目の異動で、販売員として単月売り上げ全国1位の成績を収める。その後、退職。海外留学の資金稼ぎのために、派遣社員として株式会社オルトプラスに入る。2014年に正社員として株式会社オルトプラスに入社。現在、人事業務に従事。

新卒で営業を1年経験した後、大手外資化粧品メーカーの販売員として働いていた柳さん。そんな彼女は、全国にも多くの店舗を構える企業で、なんと売り上げが全国1位にもなったことがあるご経歴の持ち主です。「20代は、特に無計画でしたね~」とやや照れくさそうな笑顔で語ってくれた柳さんに今までのキャリアストーリーを伺いました。

好きな分野を仕事にした毎日は
息をつく暇もなく過ぎていった

-それではファーストキャリアでデザイン事務所を選択された経緯、働き始めてからのお話を聞かせてください。

柳:私はデザイナーを目指して名古屋の専門学校でデザインの勉強をしていました。ただ、勉強しているうちに、コツコツ作り込むような作業が自分に向いていないことに気付き、デザイナーになるのは難しいと感じはじめたんです。だから、就職活動でデザインに関係のない会社から内定をもらった時にはかなり迷いました。

でも、最終的には内定を辞退して東京のデザイン事務所に入社することにしたんです。デザイナーは向いていないと思ったものの、デザインというジャンルが好きだったので、一度はデザイン系の仕事をしてみたかったし、 東京への憧れもあったんですよね。そこで東京の就職先を探して、行き着いたのがデザイン事務所の企画営業職でした。

営業として働き始めてからは広告代理店、メーカー、個人事業主など、様々なクライアントと仕事をしていました。広告やロゴ、名刺、WEBサイトの制作からポータルサイトの運営まで、幅広い要望に応えていました。また、既存のお客様の対応だけでなく、時には飛び込み営業もしていたんですよ。

結局、そのデザイン事務所には1年ほどしか在籍しなかったんですが、まさに「忙殺」という言葉がぴったりな1年でした。もう記憶がないぐらい働いていましたね。“デザイン業界あるある”かもしれませんが、定時に帰った記憶なんてほとんどありません(笑)。毎日のように終電で帰ったり、時々終電すら逃したり、土日もどちらかは出勤していたりという毎日でした。

話しているところ

「こんな感じでいいんだっけ?」ふと立ち止まった瞬間
ある意味思い切りがよく、計画性ゼロの新たなキャリアの選択

-1年後、デザイン事務所の仕事から販売職へとキャリアを変えられていますが、その背景を教えてください。

柳:デザイン事務所の1年間は目の前のことだけで精一杯で、家には寝るために帰っているような状態でした。そんなあるとき、「こんな感じでいいんだっけ?」と、ふと立ち止まる機会があったんです。忙しさと自分の元々の性格もあって3年後や5年後にどうなりたいかというのも全く描けていなかったですしね。

そして考える中で、もう少しお客様の近くで声を聞けて、自分の仕事への反響がダイレクトに感じられるような仕事もいいなと思ったんです。もちろん、デザイン会社でもお客様と接する機会はありましたが、ほとんどが代理店を挟んだ契約だったので、サービスを提供した後の反応は伝わってこないんですよね。そこで、化粧品の販売をやってみることにしました。
あと、働き方も少しペースダウンして、もうちょっとプライベートの時間を大事にしたいという気持ちもあって、販売職だとシフト制だったので、そこも私にとってはプラス要素でしたね。

-前職とは全く異なる職種に就くことに、期待や不安はありましたか。

柳:私の長所は思い切りがよいところなんです。だから特に迷いもなく、新しい仕事への期待が膨らんで、楽しみな気持ちでいっぱいでしたね。ただ、それは短所でもあって、悪くいえば計画性がないってことなんですけどね(笑)。それは私が23歳の時でした。

初めての感覚
自分の頑張りが結果で返ってきた仕事への興奮

-次に、販売職として働き始めてからのことを教えてください。

柳:販売職の仕事では、直接お客様とコミュニケーションがとれるのがやっぱり良かったです。お客様にお化粧をして喜んでもらえることがすごく嬉しかったし、自分が頑張った分だけ売上というかたちで成果が返ってくることもおもしろくて。それと、デザイン事務所の営業でもやっていたはずなんですが、なぜか販売員の仕事を始めてからの方が数字を追う力がついた気がします。営業時代は未熟だったせいか、自分の頑張りが数字に詰まれていくという実感をもてなかったんだと思います。その実感があれば、もう少しは頑張れていたかもしれないですね(苦笑)。

販売の仕事では、最初の店舗で1年間販売員としてのベースのスキルを学んだ後、本店に異動になりました。本店はいわゆるブランドのフラッグショップだったので、そういう店舗で経験を積めることは、ありがたいなと思っていました。

また、本店では販売だけでなく、さらに季節ごとのイベントの企画も任せてもらえたんです。例えば4月であれば冬から春に変わるタイミングなので、「冬から春のベースメイク」というようなコンセプトを決めます。そして、そのコンセプトに合わせて春夏にお勧めのスキンケアから、メイクアップまでトータルで提案するようなイベントを企画するんです。さらに、イベントの販売戦略と販売計画を設定し、それを店舗のメンバーに周知していましたね。

-これまでとは動き方も考え方も大きく異なる仕事ですね

柳:そうなんですよ。「難しい!」というのが最初の感想です。販売員の仕事では、自分1人の数字だけを見ていればよかったんですが、イベント企画の場合は自分の考えた企画でみんなが動くことになるので勝手が違うんですよね。ひとりの販売員としてだけでなく、お店全体の視点で物事を考えるようになりました。
社内バック

月間売り上げ全国No.1に!頂点を極めた嬉しさと
やりきった感を経て、未来に対する煮え切らない自分の気持ち

-その後、3店舗目に異動になるんですよね。

柳:はい。3店舗目は新宿の大型店で、本店とは全く違うスピード感のある店舗でしたね。そこではイベント企画の仕事はなく、販売の仕事1本だったので、販売員として自分の目標売上だけを追いかける日々が再びスタートしました。

-イベント企画の仕事がなくなり、再び販売の仕事1本となって、どのようなお気持ちでしたか。

柳:実はそれが自分にとっては、いいタイミングだったんですよね。イベント企画は最初は楽しかったんですが、だんだんと飽きっぽい性格というのもあってマンネリ化していました。だから、販売1本になったのは、その時の私にとってはプラスでしたね。

そして、数字を追いかけるのが楽しくて仕事にのめり込んでいたら、1度だけですが、全国で月間売上1位を獲得することができたんです。もちろんその時は嬉しかったんですが、1位をとったことで、販売職を“やりきった”という思いになりました。そんな気持ちと同時に「この先、私はどうなりたいんだろう」と考えるようになっていったんです。マネージャーや店長になるキャリアの選択肢の可能性もあったのですが、自分の中でやりたいって気持ちは芽生えていませんでした。かといって、このまま販売員をずっと続けるというのもなんだか違う気もして……。それで、「販売員としてはいろいろやりきったから、もういいかな」と、退職する決断に至りました。

本棚

「いざ海外へ!」派遣で軍資金集める作戦と
海外留学決行を悩ます仕事と留学後の自分

-退職された後は、どうされましたか。

柳:その時は特にやりたいことがあったわけではなかったのですが、幼少の頃から漠然と英語を話せるようになりたい、という思いがあったので、ワーキングホリデーをしようと思いついたんです。そこで、今度は留学資金を貯めるために派遣の仕事をすることにしました。そこで、オルトプラスに出会ったんです。

派遣の仕事は2社経験したんですが、1社目が約1年間で契約満了となり、2社目がオルトプラスの採用アシスタント職でした。派遣の仕事では与えられたルーチンワーク以外には仕事をしないのが普通だと思うんですが、オルトプラスは派遣社員にも裁量権があって、やりたいと言えば何でもやらせてもらえる環境だったんです。ルーチンワークだけでなくプラスアルファの仕事もやらせてもらえるんですよね。

例えば、入社式。派遣の私が入社式の企画をさせてもらえたんです。ベトナムから新卒を採用していたんですが、そのときに普通に入社式をしたらつまらないからおもしろい入社式をやりたいと考え、入社式についての新しい提案をしたことがありました。そうしたら、直接COOと話をする機会がもらえて、私の提案が承認されることになり、実現できたんです。それには大きなやりがいを感じましたね。そのまま、どんどん仕事がおもしろくなって、夢中で働いていました。

-ワーキングホリデーの計画についてはどうなりましたか。

柳:ワーキングホリデーの計画も進めていました。実はオルトプラスで働き始めて約半年で、正社員のお誘いをいただいていたんですが、その時はお断りしたんです。仕事は楽しかったんですが、留学したいという気持ちの方が勝っていたし、自分の人事としてのキャリアプランのイメージも湧かなかったんですよね。

でも、それから私生活でも色々変化があり、「自分ひとりで稼がなきゃいけない」という意識が芽生えてオルトプラスに正社員として入社することを決めました。 英語の勉強はしたかったんですけどね。留学後のキャリアがイメージしきれなくて、踏み切れなかったんです。結構バクチだなと思って。留学することで何かみつかるかもしれないし、何もみつからない可能性もある。そう考えると、目の前のおもしろい仕事を辞めてまで「留学する!」という決断が最後までできなかったんですよね。

また、オルトプラスの全体会議のときにCOOがアメリカの「バーニングマン」というイベントの写真を使っていたのも、実は入社を後押ししたきっかけでした。実は私は昔からライブやイベントが大好きなんですよね。「バーニングマン」というイベントは、様々な嗜好をもった人種が集まるgoogleのCEOも遊びにくるような大規模なイベントです。そんなイベントの映像を会議に使うというセンスが好きだったし、会議での経営者からのメッセージの内容にも共感できることが多く、一年間働いて社風が肌に合うと感じていたんです。本※読書する時間は意識して作っているという柳さん。『WORK・RULES!』は最近読んで面白かった本。AesopのハンドクリームとNEAL’Sのアロマオイルはお気に入りの香りで気分をリフレッシュできるそう。

派遣から正社員になって再始動
組織の変化と共に、既存の枠にとらわれない採用担当へ

-正社員になってからのご自身の変化について教えてください。

柳:正社員になったからというわけではないと思いますが、人事チームの1人が産休に入る方がいたり、退職する社員もいて、必然的にアシスタントという立場であってもサポート業務だけでは回らない状況になりました。それに伴い私は、新卒採用を専属で担当することになったんです。

アシスタントのときは、あくまで担当者が実現したいものを実現するためにサポートするだけでよかったんですね。それが、自分が専属の担当者になってからは、自社にあった新卒社員を採用するために、どういうことができるのかという、もう少し深いところから考える必要がでてきました。

会社が「こういう人を採用したい。」という思いがあったうえで、その人達を集めるために既存の媒体手段だけでなく、新しくゲームジャムを開催してみようとか、女性向けのゲームの企画をやってみるインターンなど、集客のためにいろんなことを考えて実行していきました。

-現在はコーポレートブランディング部に所属されていますよね。

柳:「採用もコーポレートブランディングの一環」という思想の下、人事部がなくなり、コーポレートブランディング部の中に人事部門が配置されることになったんです。そこでは、中途と新卒両方の採用と社内広報を担当しています。既存の採用担当の仕事という枠を外して、採用につながることはほぼ全て行っていますね。

また、新しく加わったメンバーに採用実務を任せて、私は企画と情報発信に重点をおいています。具体的にはfacebookのオフィシャルページを更新したり、社員全員にインタビューして社員紹介シートをつくったり、会社のビジョン・ミッションを浸透させるために入社時のオリエンテーションを組み直したりとか。

ロゴ前

20代から30代へ。走り続けるために、
腰を据えて困難に立ち向かうチャレンジ

-柳さんの今後のキャリアについて教えてください。

柳:今後の短期目標としては既存の人事のイメージをうち破って、発信力のある人事になりたいですね。そして、中長期の5年後、10年後の目標は、社内制度の設計や教育にも携われるようになりたいと考えています。それは制度設計も企業文化作りの一環なので、結局は採用につながり、最終的には会社全体の事業の動きに繋がっていくことに面白みを感じているからです。とにかく、30代は専門性を高めてマルチに活躍できる人事になるということが目標ですね。

また、20代は目の前のことを全力でやっては燃え尽きて、仕事がマンネリ化してモチベーションが下がるたびに、運よく異動などで環境が変わったことで、自分を変えていくことができました。30代は腰を据えて、どんな困難があっても逃げないというか、向き合っていきたいと思っています。

やっぱり自分が楽しくなくなってはいけないので、適度に息抜きをしながら、モチベーションのギアを入れ続けられ、長くペースを持続して走り続けられるよう意識して、工夫していきたいですね。

柳さんの『My Work Style』
“なぜそれをやるのか”を自分に問いかけ、“どうすれば実現できるか”を常に考えること  My Work Styleをみる

柳さんの『Women Book Lists』
仕事のやり方を大きく変えてくれた一冊 Women Book Listsをみる