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「1日の大半を費やす仕事だから楽しく働きたい」一営業だった私が国家資格を取得し、掴み取った仕事での自信と楽しさ

久野 絵美子さん 40代 不動産鑑定士
オリックス株式会社


1976年生まれ。大学卒業後、オリックス株式会社に入社。7年間、リース営業や法人営業を務める。専門的な仕事をしたいという思いから、難関といわれる不動産鑑定士の資格を働きながら取得。念願の不動産鑑定部へと異動し、不動産評価業務を行う。その後、出産・育休を経て、現在は2児を育てながら、同社で不動産投資案件審査業務を担当するワーキングマザー。

仕事は楽しみながらやりたいという前向きな努力家で、双子の小学生のママでもある久野さん。新人時代から営業をされていましたが、ある時もっと専門的な仕事をしたいという自分の気持ちに気付き、資格取得が難しいといわれる不動産鑑定士をはじめ、数々の資格を働きながら取得されています。彼女のベースにある「仕事は楽しんでやるもの」という想いはどこから生まれたのか。ワーキングマザーとして育児と仕事を両立していくための秘訣についてもお伺いしました。

“使えない人”と思われたくないという一心でとにかく働いた一年目

―まずは久野さんの入社のきっかけについて教えてください。

久野:学生時代、こういうことをやりたいという明確な目標がなく、将来のことも企業に入社してから考えればいいかなという気持ちだったんです。ただ、長く仕事をしたいという気持ちはあったので、働き方の選択肢が多いオリックスに、転勤のないエリア総合職で入社しました。実は、入社前はオリックスが正直どんなことをしてる会社なのか深くは把握しておらず、ただ、大きな会社に入ればもし最初の配属部署が自分に合わなくてもいつかは異動という選択肢もあるかなと考えたんです。

入社後は、最初にOA機器のリース営業をする部署に配属されました。最初はわからないことだらけだったので、慣れて覚えるところからスタート。頭で覚えるだけでは身につかないと思い、1年目は何か言われたら「はい!やります」という風に、とにかく前向きに引き受けて、体で覚えていきました。そのうちに、働く環境にも慣れ、お客さまとの関係も築けてきて、2年目には後輩を教える立場にもなりました。徐々に指示を受けて動くだけではなく主体的に動けるようになり、それに伴って与えられる権限も増えていきましたね。最初のうちは何かあればすぐ上司に相談していましたが、次第に自分の判断である程度業務を進められるようになっていきました。

―そうだったんですね。入社してから将来を考えるということでしたが、新卒時にはどのようなことをモチベーションにして働いていたんですか。

久野:私は決して高い志があるタイプではなかったのですが、働くからには仕事内容がどうだとかよりも、使えない人だと思われたくないという気持ちがあったんですよね。それは社内に対しても、取引先に対しても(笑)。あと、やはり仕事は1日の大半を費やすものなので、楽しくやれるほうがいいなと常に思っているんです。「週末のために平日とりあえずがんばる」という発想は全然なくて、やるからには「もっとこうしたい!」と自分が前のめりになれる仕事がしたいなと思っています。

私が4年間担当していたリース営業はルート営業だったので、既存のお客さまを継続して訪問していました。そこではお客さまとの関係をしっかりと作っていくことで仕事を進めやすくなるんです。「あなたがそう言うなら」と言ってもらえる関係を構築することができると、お客さまから頼りにされていると実感することも多くなり、それが充実感に繋がりモチベーションになっていましたね。

また、年数を重ねるにつれて、自由に営業活動を進めることができたので、自ら考えて行動し、その結果、数字が積み上がっていく楽しさは実感としてありました。気づいたら忙しくなって仕事にのめり込んでいましたね。ただ、非常に高いモチベーションで「やってやろう」といった気負いはなく、やるべき仕事をして余裕があったらプラスαでなにかをする、という具合に楽しんで働いていた感じです。

そうこうしているうちに、業務内容自体は4年間そこまで大きくは変わらなかったので、慣れもあって、他の経験も積んでみたいなと思うようになりました。社内では3~4年で部署異動が一般的だったので、そろそろいい時期かなと思って異動願いを出しました。

本を読んでいるところ

異動を機に初めての苦戦。任された仕事でこの先自分が開花できるか悩み、
今後のキャリアを考えるきっかけに

―異動されてからのお仕事について教えてください。

久野:何となくいきたい部署への異動希望は出したのですが、その部署に必要な専門知識が足りなくて叶わず、結局、すぐ隣の融資やオリックスグループの商品を販売する法人営業部に異動することになったんです。普通は異動となるとビルやフロアも変わることが多いのですが、私は隣に移っただけで、正直「おっと、そこか…」という気持ちはありましたね(笑)。ただ、同じ営業といっても、それまでは既存のお客さまにリース専門の営業をしていたのが、異動先は、新規営業もあり、商材もグループの金融商品全般が対象となったので、最初はすごく戸惑いました。
一方で、支店内異動だったため人間関係の構築が一からではないという利点もありましたね。

そんなこんなで、いざ新しい部署で仕事をしてみると、本当にわからないことばかり。ただ1つわかっていたのは、基本的なことですが「お客さまはメリットを感じなければ買わない」ということ。ですから、商品の仕組みを理解するところからのスタートでした。

とはいえ、もう5年目でしたし、新人みたいにはできないという焦りはあったと思います。1年目にあれもこれも覚えなきゃ!と頑張っていた時よりも、ずっと辛かったかもしれません。1年下の後輩が教育係として付いてくれたり、先輩の商談に同行させてもらいながら、お給料に見合った最低限のことはやらなきゃと毎日思ってもがいていました。ただ、やればやるほど「私、ここで羽ばたける気がしない」となってしまって。

―具体的にはどのあたりでそう感じたのですか。

久野:たくさんの商品の中からお客さまに合うものを選ぶこと、そのために、多くの商品知識を広く持つこと、でしょうか。その上、教えてくれるのは年次が下の後輩で、本当にみんな優秀で「私が何年かがんばったところで、こんなふうにできる気がしないな」と思ったんです。

それまでの仕事は、1つのことに傾倒していたので、やっていくうちに徐々に要領を得ることができたのですが、新しい仕事は、次々に新しいものが出てきてはその都度一から覚えていく必要がありました。人によっては常に新しいもの習得して、それをお客さまに提案していくのが好きだったり得意だという人もいるのですが、私には向いていないと思ったんです。やってもやってもなんだかできている感覚がなく、だんだんと手に職を持つというか、専門分野の仕事がしたいという気持ちを持つようになりました。

実は、もともと異動前に希望していたのは債権回収の仕事だったんです。社内では異動希望が殺到するような人気部署というわけではないのですが、すごく専門的な仕事であるというところに私は興味があって。スキルがなくて異動できないのなら、専門知識を身につけて資格を取得すれば会社も認めてくれるかもしれないと思ったことがきっかけになって、異動した翌年から不動産鑑定士の勉強を始め、取得しました。

会社員と国家資格取得勉強という両輪
自ら勝ち取った希望部署への道

―すごいですね!仕事と資格の勉強との両立はどのようにされていたのですか?

久野:不動産鑑定士の資格は難易度が高いので、まずは宅建の勉強から始めて、そのあとに簿記2級、ファイナンシャルプランナーの資格取得と、順を追って勉強を積み重ねていきました。当時の業務でも不動産担保の融資業務は行っていたので、不動産関係について勉強することで基本的な知識が身に付き、仕事の助けにもなっていました。最初は比較的軽いものから助走のように始めて、翌年から鑑定士の勉強を本格的に始めました。支店の方々もすごくいい人ばかりで、応援してくれました。勉強を始めてからは、仕事のあとに飲みにいく回数は減りましたが、「早くまた一緒に飲みに行きたい」という気持ちもモチベーションになり(笑)、短期集中で勉強した結果、試験は一発合格をすることができました。

仕事は既存のお客さまを担当させてもらえていたので、そこは恵まれてたなと思います。営業は、自分が動かないと仕事がゼロになることもあるのですが、幸いそういう事態にはならずに済みました。しっかりと最低限の結果は出すということは変わらず私の根底にありましたが、最低ラインを死守するのが精一杯という状態でした。
法人営業部に在籍していた3年目の秋に試験の合格がわかったため、不動産鑑定部に異動希望を出しました。

話しているところ

どちらかというと目標意識のない私が
常に難しい案件に挑戦したいという積極的な私に

―そして、希望の部署に配属されたんですよね。当時の心境はいかがでしたか。

久野:念願の不動産鑑定部に配属されて嬉しかったのですが、試験と実務は全く別物だということを痛感しましたね。異動して最初の1年間は修行しているような気持ちで働いていました。ただ、試験勉強のおかげで基本知識はあるので、形になるのは早かったと思います。

また、自分が以前いた営業部の方から不動産鑑定部に仕事を依頼されることもあるのですが、どちらの立ち場もわかるので、うまく調整ができたのではないかという気がします。営業部の方も私が現場の勝手をわかってくれるから頼みやすいというのもあるようでした。そういった意味では、営業にいたときの経験が生き、比較的早めに仕事に慣れることができたと思います。

―営業時代の経験が生きていたんですね。
資格を取られてから、今の仕事はどういった意識で仕事をされていらっしゃるのですか?

久野:資格も取ったしがんばろうという前向きな気持ちをもちつつ、不動産鑑定部の中でも難しい案件は経験のある人が担当することになっていたので、早く難易度の高い仕事を担当できるようになりたいと思っていました。そのような意味では、以前よりも積極的に動いていたかもしれません。営業の時は、「使えない人と思われたくない」という感覚で仕事をしていましたが、鑑定部に異動してからは「もっと難しい案件を担当したい!」「多くの経験を積みたい!」と積極的に仕事を取りにいくようになった気がします。頑張ったら頑張った分だけ自分の経験値を上げられ、スキルアップも出来たので、自分自身の仕事に対するスタンスや考え方は大きく変わりましたね。

―以前とは仕事に対する意識が変わってこられたんですね!
異動されて第一子をご出産になられたということですが、その後、働き方などに変化はありましたか?

久野:不動産鑑定士の資格は、試験に受かってから1年間の研修があり、最終的な試験を受けて登録となるので、かなり道のりが長いんですよね。2008年に鑑定士の登録が完了して、その後すぐにグループ会社の銀行に駐在しました。4~5人ぐらいの小さな部署でしたがそこで初めて責任者という立場を任せてもらえたんです。ただ、責任者になってすぐに妊娠がわかって「すみません!1年足らずで産休入ります」という申し訳ない状況でしたね。

―そうだったんですね。育休期間はどんな気持ちでしたか。

久野:出産後に会社を辞めて専業主婦になるという選択肢は全く考えませんでした。できるだけ長く働きたいから、この会社に入社し、専門的な知識を身につけたいと思っていたぐらいなので、育休も子どもが7カ月になるまでしか取らず、早めに復帰しました。それでも「早く終わらないかな、育休」ってずっと思っていたんですよ。赤ちゃんはかわいいのですが、私としては外に出て働くほうがいろいろな刺激があり、その上で育児をするほうが自分には合っている気がしたんですよね。

―それで、7か月くらいで復帰されたということですが、復帰後はいかがでしたか?

久野:正直、1年近く休んでいたので、今までの知識など全部忘れてしまっているのではと不安もあったのですが、意外と大丈夫でした。

それよりも、子どもに合わせければならない状況が何度もありましたね。私は双子を出産しまして、復帰直前に片方の子が肺炎で入院して復帰がちょっと遅れたり、その翌月はもう片方の子が水疱瘡になったり……。なんだかんだと毎月1週間ぐらい休ませてもらっていました。だからといってその分を残業でカバーするというわけにもいかず、また、定時に帰らないと今度は家事ができなくなるので、そういった意味ではすごく大変でしたね。子どもが1歳になるまでは時短勤務で働き、1歳になったタイミングでフルタイムに変更しました。

ワーキングマザーには時間がない!
だからこそ前倒しの仕事を心掛ける重要性

―なるほど。そうやって今までみたいに思うように働けないことで、どう思われたんですか?

久野:ワーキングマザーの方の多くは仕事も育児も完璧に頑張らなくてはと思う人が多いのではないでしょうか。私はそういう考えを一切持たないように意識しています。というのも、子どもは、しょっちゅう熱をだしたり、怪我をしたりと、色々とあるんですよね。何かあったら、仕事を早く切り上げて行くしかないんです。子どもにとって母親は自分だけですからね。もちろんそれを大きな顔をして言うわけではなく、気持ちの切り替えをするようにしています。母親である自分でなければ対応できないことに毎回気を病んでしまっていたら、結局仕事のパフォーマンスも下がってしまうと思うのです。ハートの強さは仕事と子育てを両立してみて本当に大事だと思いますね。ですから、なるべく気に病まないようにするためにも、急な事態でも大きな穴を開けないように、極力仕事は前倒しでやるような工夫はしています。

ワーキングマザーになってからは、基本的にいつも時間が足りないので、何でも急いでやり、よくも悪くも悩み続けたりしなくなりました。「これは自分で解決できない!お手上げだ」と思ったら、すぐに人に相談するようにしたり、いかに生産性のあがらない作業をカットしていくかという癖が自然と身についたと思います。

―ワーキングマザーになって、キャリアについて、考えに変化はありましたか。

久野:目の前の業務と育児に追われてしまうので、不動産鑑定部など専門的な部署にいると、営業に比べて実務経験は積みづらいかもしれません。その分、いかに専門的な知識を身につけていけるかが重要な気がしています。と言っても、なかなか時間もないのが現状なので、計画的に勉強に取り組むようにはしているのです。。

実は、出産してからも競売不動産取扱主任者、不動産コンサルティングマスター、貸金業務取扱主任者、ビジネス実務法務検定2級、それに加えてまったく業務に関係ないのですが保育士の資格など、合計5つ程資格を取りました。「ママをしながら勉強する時間なんてない!」と思いがちですが、意外と工夫すれば隙間時間はあるんですよ。もちろん税理士や弁護士のような難易度の高い資格はなかなか難しいかもしれませんが、比較的ある一定の勉強をすれば成果が得られるものは、育児をしながらでも取得できると思います。

不動産には法律がつきものなのできちんと知識を身につけたくて、朝30分早起きして勉強だけに集中しました。電車の移動中はテキストしか読まないとか。小さいことですが日々実践しています。ある程度勉強するタイミングをきちんと決めてスケジュールを逆算すれば、普通は3~4カ月で勉強が終わるところを半年くらいかかってしまっても、できないことはないかなって思います。

図工
※お子さんからのお写真とプレゼントとしてもらった絵や折り紙は、机の引き出しにしまって疲れたときに見てリフレッシュするそうです。

資格を取得したのにも関わらずまさかの異動!
与えられた環境で楽しめるスキルに気付く

―そうして出産後もいくつか資格を取られていた中、突然異動が決まったんですね。

久野:部署は同じなのですが、不動産鑑定チームから不動産投資チームに異動が決まりました。今までは土地の値段を審査したり、不動産を評価したりする仕事だったのですが、今度は会社が行う不動産投資の案件を審査する仕事になります。

最初は「鑑定士の資格まで取ったのに」と思いましたが、いざ仕事を始めてみたら、これが想像以上におもしろくて、楽しく働いています。不動産投資・運営に関わる内容で、立案した予算で不動産を開発して、売却や運営によってどれだけの利益を産むかという会社の利益に直結する仕事に関わっています。私はその不動産投資・運営案件における事業計画の妥当性を審査する仕事を担当。不動産収支の見方は、鑑定チームの時の経験が生きていますし、やっていてとにかく楽しいです。異動する前は、定年までずっと鑑定チームにいる想定でいたので、異動と聞いたときには驚きましたが、異動してみたら実はまた新しい業務に携わりたいと自分自身思っていたのかもしれないと、意外な発見がありました。

いくつになっても新しいことをするのってやっぱり楽しいですね。今まで考えなかったことを考えるのが楽しかったり、今まで自分がやってきたことがこういうところで役に立つんだという気付きもあったり。今の仕事を担当してから、私の中ではキャリアアップというよりはキャリアが広がっていくイメージが強くあります。

ロゴ

「今後のプランを決めない」ことを決めたら
自分の人生はもっと楽になる!

―今後のキャリアについてはどう考えられていますか。

久野:はっきりしたものはないのですが、今後のキャリアについて、決めないことを決めたというのはあるかもしれません。苦戦した法人営業の頃も含め、悩んだり自分に自信をなくしたりすることもあったけれど、面白いことや手応えを感じて前向きな気持ちになることの方がたくさんあったんですよね。この20年、まわりの人に恵まれていたりして、常に楽しく仕事をやってこられたかなと思っています。

不動産の資格を生かし、その分野に携わり続けたいという気持ちは持ちつつ、あとはなるようになる!という気持ちでいます。今は子どももいますしその時に置かれた環境に応じて、自分のスキルを会社の成長に生かしながら、自分自身も楽しめる働き方ができればいいのかなと思っています。

https://libinc.jp/workstyle/my_work_style/2430

藤本さんのMy Work Style「仕事は楽しくやる。そしてまわりの人と仲良くやること!」
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